竹田繭香 ~墨幽玄の世界~ 墨と花 Sumi&Flower by Mayuka Takeda

水墨画と花の作品制作、四季折々のゆる〜い日記

作家を悩ます「どれくらい時間かかったんですか」問題(ピカソの逸話)

こんにちは、竹田繭香です^ ^

 

みなさんは、ピカソの逸話をご存じでしょうか?

ピカソとは、言わずと知れた、画家ピカソのことです。

パブロ・ピカソ(1881〜1973年)、

スペイン出身のフランスで活動した画家ですね。

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ピカソ


ある日、ピカソがマーケットを歩いていると、

手に1枚の紙を持った見知らぬ女性がこう話しかけてきたそうです。

 

「ピカソさん、私あなたの大ファンなんです。

この紙に一つ絵を描いてくれませんか?」

 

ピカソは彼女に微笑み、たった30秒ほどで、

小さいながらも美しい絵を描きました。

そして、彼女へと手渡しこう言いました。

 

「この絵の価格は、100万ドル(約1億円)です」

 

女性は驚きました。

 

「ピカソさん、だってこの絵を描くのに

たったの『30秒』しかかかっていないのですよ?」

 

ピカソは笑います。

「お嬢さん、それは違う。30年と30秒ですよ」

 

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これは、芸術家ピカソの話として、また、

アートの価値に対する人々の意識をあらわす話としてもよく語られる有名な逸話です。

 

あなたはこの逸話を聞いてどのように感じられますか?

 

1億円なんていう法外な金額を要求したピカソは頭がおかしいでしょうか。

(本心で要求していたかは分かりません。

芸術の価値を示したかっただけなのかもしれません)

 

1億円はたしかに途方もない金額ですが、

この場合、高いでしょうか、安いでしょうか、妥当でしょうか。

 

偉大なピカソとは比べるべくもありませんが

私も作家活動をしているとよく質問されます。

よく、というより、100人いたら99人から質問されるほどです。

「この作品、どれくらい時間がかかったんですか?」

 

作家仲間は口をそろえて言います。

「展覧会のたびに、お客様からかかった時間を聞かれるよね」と(笑)。

人は皆、時間で物をはかりたいようです。

(それで頭の中の計算機で瞬時に時給を計算しているのですよね(;^_^)

もちろん、作家は皆、聞かれれば、正直に丁寧にお答えします。

 

かかった時間を質問したい気持ちも分かります。

しかし、いつも思うのですが、

この質問は意味があるのでしょうか。

 

私は書道で売り出していた時期もあるのですが、

一文字のデザイン書なんて、1作品「5秒」の場合もあります。

「この作品を書くのに、どれくらい時間がかかりましたか?」と聞かれれば、

「5秒です」と答えます。本当のことだからです。

例えば、その作品が1万円だとしたら、

 

「5秒で1万円?!?! 高~い!!!」と思われますか?

 

その作品を出すためには、何百枚と書き損じをし、

たくさんボツにしていますし、

その作品は、厳選した中から、さらに選んだ1枚です。

とうぜん、それだけの時間と労力とお金もかかっています。

 

もっと言えば、その作品を生み出すには、

すべてにおいて、それなりの日々の修練が必要です。

 

美術館や展覧会に足を運び、感性を磨き、構図を練るときにそれが役立ったり、

または、一見、何の関係もなさそうな映画や演劇などが生かされたりもします。

私の場合は、作品制作するうえで、他のお稽古ごとからかなり影響を受けています。

「修練」と一言で言いますが、

筆をもって練習するだけが修練・鍛錬ではありません。

日々の生活の中で、自分に磨きをかけるために、

常にそれだけの時間と労力とお金がかかっています。

 

そのように、作品を生み出すには、日々、24時間感性を磨き続け、

いつでも引出しの中身をいっぱいにして準備しておく努力が必須です。

 

世の中の人は、すぐ時給で考えがちですが、

「1時間かけて仕上げた3万円の作品」を売っていたからといって、

その作家の時給が3万円というわけではないのです。

時間で換算するなんてナンセンスです。

 

かかった時間を聞かれた場合の答えとしてふさわしいのは、

「これまで生きてきた時間、すべてです」

これに尽きます。

 

作家の端くれとして、作家の立場で言わせていただくとすれば、

作品のバックにあるものを見る目、感じる心、を

ぜひ持っていただきたいと思います。

 

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